当ページでは、JavaScriptを使用しております。
ご使用のブラウザのJavaScript機能を有効にして、ページを再読込してください。

News

News
2016-5-16

We visited Bayerisches Geoinstitut, University of Bayreuth(BGI) on March 16-24, 2016.

東北大学大学院理学研究科博士課程前期1(現在2)藤田和果奈

316日から24日まで、ドイツのバイロイト大学地球科学研究所(BGI)を訪問した。来客の多いBGIだが、日本からの8人という大所帯の訪問も温かく迎えてくれたのが印象的だった。私の訪独の目的は、日独共同大学院プログラムに先立って、メンター教員候補であるGregorGolabek氏と共同研究テーマである、多結晶岩石中の流体移動の数値シミュレーションについて話し合い具体的な研究方策に道筋をつけることであった。Gregor氏は惑星内部の核の形成過程など惑星スケールの数値計算を行っている研究者である。そのため岩石の組織形成というミクロスケールの研究に興味を持ってくれるかどうか不安だったが、議論を通して私の研究分野の背景や意義を理解してくれたという手ごたえを感じた。Gregor氏からは岩石組織の計算は非常に複雑であることから、よりマクロな視点からのシミュレーションを行ったらどうかと提案された。今回の議論ではシミュレーションの手法まで踏み込むことはできなかったが、非常に有意義な時間となった。また、材料科学分野で行われているような組織計算を地球深部の岩石に応用することの難しさを学んだ。

直接研究内容に関係することではないが、今回の訪問を通して私の中で大きな実りとなったことがある。それは海外で研究するということへの意識的なハードルが低くなったことだ。今回の訪問ではミニランチパーティーなど学生や研究員の方と触れ合う機会に恵まれた。英語での専門的な会話はまだままならなかったが、日常会話には臆せずなるべく参加していこうと決意して行った。だいぶ肩に力が入っていたような気がするが、そんな私をBGIの学生さんたちはごく普通に彼らの会話に混ぜてくれた。変に気を使いすぎるわけでもないのだが、こちらが拙い英語で話そうとするとじっと辛抱強く聞いてくれた。これはドイツに住む人々の温かさでもあり、BGI特有のおおらかさではないかと思う。BGIは様々な国から学生や研究者が集まる研究所であるため必然的に研究の話も日常会話も英語で行われることになるのだが、彼らの多くにとって英語は母国語ではないのである。そのためか、たどたどしい英語に対してもきちんと待ってくれるのではないかと思う。これまでは海外での研究という英語でのコミュニケーションへの不安が真っ先に浮かんできたが、その不安が軽くなった。学問に国境はない。それなのに意識の中に外と内を分ける仕切りがあってはもったいない。この訪独で少しそのしきりが低くなったことをとても嬉しく思っている。